色へのこだわり

刺繍糸にとって大切な「色」。

最大750色を超えるカラーラインナップは微細な色表現にきっとお役に立てるはず。

「ずっと変わらず綺麗な色であるように」そんな想いを込めて糸それぞれの染色方法にもこだわっております。

その中でも最もこだわりのある「レーヨン刺繍糸」についてご紹介いたします。

最大のこだわり「スレン染色」

レーヨンの染色に適した染料はいくつかありますが、その中でも最も「染め方や色の再現」が難しい「スレン」で糸を染めています。

パールヨットが難しいスレン染色にこだわる理由は「保管状況がよければ半永久的に色が落ちない」といわれる染色であること。

他の染料に比べ日光や洗剤による色落ち、褪色が最もしにくい染色だからです。

エコテックス®スタンダード100 製品クラスⅠの認証も受けているレーヨン刺繍糸は大切なお洋服や小物、作品を彩る "刺繍" に安心してお使いいただけることから検査基準の厳しい有名ブランド様から多くのご支持をいただいております。

染色職人のご紹介

創業1959年、六十年続く染色工場で職人達が「スレン」で糸を染めています。

空気に触れて初めて発色するスレン染色は、思い通りの色を出せるようになるまでには何年も修行が必要で、750色以上ある糸の色を再現することは熟練された職人であっても苦労すると言います。

染料も高価であることから製造する染色工場も少なく、スレン染色の工業用レーヨン刺繍糸は、世界中でパールヨットしか販売していないほど希少価値の高い糸です。

長年この品質を保ってモノづくりが出来ているのは、染色職人の培われた技術と経験があってこそ。パールヨットの糸は職人の技に支えられています。

難しい糸を作り続ける理由

「スレン染色」の刺繍糸を作り始めた当初は色が思うように出せず、パールヨットの厳しすぎる色基準に、職人も匙を投げそうになることもあったというほど。

原料コストもかかることから製品化に至るまでに、相当な時間を費やしました。

染料のレサイプが完成した今でも、僅かな気温・湿度の変化で色の出かたが変わるスレン染色には職人の技が必要不可欠です。

そのような難しいスレン染色の刺繍糸を職人が作り続けてくれている理由はこの品質を必要としてくださる方がいらっしゃるから。
その想いに支えられ職人は手を緩める事無くモノづくりに励んでいます。

後世に残したい技術

今から40年程前、とある打掛屋さんが横振り刺繍にスレン染色の刺繍糸を使ってくださっていたそうです。

その打掛はホテルの花嫁衣装として、他の業者さんの衣装と共に東京のホテルに飾られることになりました。

展示して長い年月が経ってもその打掛屋さんの衣装だけが色褪せせずに綺麗な色を保っており、ホテルの方が大きな評価をしてくださったと言います。

打掛屋さんから「この糸が無くなったら困る」「この仕事をずっと続けてほしい」と頼まれた職人は自分達の仕事の重要さに気づき、この技術を後世に受け継いでいこうと心に定め、最高級の刺繍糸と言われるパールヨットの品質を、何十年も守ってくださっています。

スレン染色の工程

  1. 精練

    撚糸が終わった糸は、糸に付着している天然不純物や油分を取り除きます。

    きれいな染色をする為の大切な前工程です。

  2. 染色

    染料を調合し染色をします。

    スレン染色で750色以上ある糸の微細な表現をするのは職人とは言え至難の業です。

  3. 酸化

    染料を酸化発色させます。
    染色釜から出した糸は、空気に触れると色が変化していきます。(写真は色が変化している様子です)
    空気に触れて色が変化するスレン染色では、酸化発色とムラなく染めることが最も難しい工程とされています。

  4. ソーピング

    未染着染料や不純物をきれいに洗い流します。
    ソーピングが不十分だと、色がにじみ出てしまう原因になるので丁寧に洗い上げると同時に、溶解した染料を繊維の中で結晶化させます。

  5. 乾燥

    糸を乾燥させて仕上げます。

    色それぞれに合った最適な方法で乾燥させます。